JSBBA JSBBA-Kanto

公益社団法人 日本農芸化学会 関東支部

若手優秀発表賞 2013年度受賞者

ポスター発表の部

浦尾翔太(東農大・応生)

Ganomycin I及びfornicin Aの合成研究と生物活性
浦尾翔太、矢島新、勝田亮、額田恭郎(東農大応生)
 Ganomycin Iは2009年、富山大学の服部らによりベトナム産キノコ(Ganoderma colossum)から単離されたメロテルペノイドで、ヒト免疫不全ウィルス1型(HIV-1)プロテアーゼ阻害活性を示すことが報告された。またfornicin Aは2006年、Cheらにより中国産キノコ(G. fornicatum)から単離され、ヒト喉頭ガン細胞(Hep-2)に対する細胞毒性を示すことが報告された。本研究ではganomycin Iの両鏡像体と類縁体であるfornicin Aを合成することにより天然物の絶対立体配置を決定することとした。Ganomycin I、fonicin Aに共通の構造であるブテノリド部位をSharpless不斉ジヒドロキシ化、Kocienski型オレフィン化、山口エステル化、続く閉環メタセシス反応を鍵反応として構築することに成功した。2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒドを出発原料としganomycin Iの合成を総収率31.3%で達成した。合成した両鏡像体と天然物の比旋光度を比較した結果、天然物の絶対立体配置はRであることを確認できた。また同様の手法によりfornicin Aも合成し、絶対立体配置はganomycin Iと同じくRであることを明らかにした。合成した化合物のHIV-1 プロテアーゼ阻害活性試験も行ったので併せて報告する。

水野裕太(東京大・生物生産工学研究セ、協和発酵バイオ)

Corynebacterium glutamicumのグルタミン酸生産誘導時における短鎖アシル化修飾の網羅的解析
水野裕太1,2、久保翔世1,3、古園さおり11東京大・生物生産工学研究セ、2協和発酵バイオ、3東京電機大)
 タンパク質の翻訳後修飾の一つである短鎖アシル化修飾は、代謝や栄養状態に応答したタンパク質の機能調節に関わると考えられており、これを標的とした代謝制御への応用が期待される。C. glutamicumはグルタミン酸を過剰生産する際に、グルタミン酸排出が促進されると同時に、代謝フラックスがグルタミン酸合成方向に変化することが知られているが、代謝フラックス変化が誘発されるメカニズムの詳細は明らかではない。本研究では、短鎖アシル化修飾がグルタミン酸生産時の代謝フラックス変化に関わるメカニズムの解明を目的として、アシル化修飾の網羅的解析を行った。グルタミン酸生産の誘導物質であるTween 40添加による生産誘導条件および非誘導条件では、アセチル化やスクシニル化などの短鎖アシル化修飾のパターンが大きく変化する。MSを利用した修飾部位の網羅的解析から、生産非誘導条件ではグルコースからグルタミン酸までの代謝酵素の多くでアセチル化が起きていることが判明した。また、生産誘導条件ではアセチル化部位の数が減少する一方で、スクシニル化部位は増加していた。グルタミン酸生産に重要なgulutamate dehydrogenase、2-oxodehydrogenase complexおよび補充経路のタンパク質にもアセチル化部位が同定されており、グルタミン酸生産時の代謝フラックス変化における短鎖アシル化修飾の関与が示唆された。

望月ちひろ(山梨大院医工・生命工)

天然アミノ酸の光学活性を利用したキラル金ナノロッド超構造
望月ちひろ、新森英之(山梨大院医工・生命工)
【序論】近年、ナノ材料として注目を集め始めている金ナノロッドは棒状の形状をしていることで構造的な異方性があり、これによって特徴的な光学的性質を有している。この金ナノロッドの自己組織化研究は盛んに行われているものの、生体分子を組み込んだ光学活性なキラル超構造体の形成の例はほとんど報告されていない。そこで本研究では、光学活性な天然アミノ酸を組み込んだキラル金ナノロッド超構造体の形成を目的とした。
【方法】今回使用する金ナノロッドはシード成長法によって作製した。また、金ナノロッドの架橋部位として光異性化物質であるアゾベンゼン誘導体を導入して、金ナノロッド超構造体の多様性を図った。実際には、アゾベンゼン両端に天然アミノ酸を連結させた化合物を合成し、Au-S結合により金ナノロッドに組み込んだ。ここで得られた超構造体の光化学的特性を紫外可視吸収スペクトルや円二色性(CD)スペクトル測定により評価した。
【結果・考察】金ナノロッド超構造体は天然アミノ酸修飾アゾベンゼンを混合するのみで形成可能であった。この超構造体は、end-to-end型の鎖状構造であることが金ナノロッド吸収帯(長軸方向)の顕著な長波長シフトによって確認できた。同一条件下で円二色性(CD)スペクトルを測定したところ、金ナノロッド吸収帯領域でのキラリティーが確認された。これより、天然アミノ酸を利用することで不斉な鎖状金ナノロッド超構造体の形成に成功した。

口頭発表の部

吉田昭介(慶大・理工)

Ideonella sp. No. 201-F6株が生産する新規ポリエチレンテレフタレート分解酵素群の同定
吉田昭介1、捧開維1、小田耕平2、宮本憲二11慶大・理工、2京都工芸繊維大・応用生物)
【背景・目的】Poly(ethylene terephthalate)(PET)は、テレフタル酸とエチレングリコールが縮重合した芳香族ポリエステルでありPETボトルなどの素材として利用されている。PETは生分解性を持たないとされてきたが、近年、我々は世界に先駆け、PETを資化する新種の細菌Ideonella sp. No. 201-F6株の分離に成功した。本研究では、本菌のPET資化に寄与する酵素群の同定を目的とした。
【方法】No. 201-F6株からゲノムを抽出し、次世代シーケンサーを用いた塩基配列の解読、コンティグ配列の作成、遺伝子の予測を行った。また、本菌を様々な基質を主な炭素源とする培地で培養し、次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析(RNA-Seq解析)を行った。候補遺伝子はクローニング後、大腸菌を用いて組み換えタンパク質を作成し、精製後、PET分解能を評価した。
【結果】ゲノム解析により、5529個の遺伝子を推定した。RNA-Seq解析により、PETにより大幅に発現が誘導される遺伝子を多数同定した。PET誘導性の2種のタンパク質が、それぞれPET加水分解活性、PETオリゴマー加水分解活性を示すことを明らかにした。

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